2011年8月21日日曜日

42歳からの妊娠・出産・・・(帝王切開)男児誕生。

7月28日(木)16時頃に手術室に入り、麻酔の処置が20分ほど。
いよいよ、執刀。
すでに下半身は感覚がなく、海の中に浮かんで、ぷかぷか浮いているようだった。

麻酔科の先生「どうですか?気分は悪くないですか」と聞く。
私「大丈夫です。なんか、宇宙に飛んでるみたいですね!無重力ってこんな感じかなあ」
麻酔科の先生「へえ。そんな感じかもしれませんね-。」
私「いやあ、すごい技術ですね!腕までは感覚あるのに、お腹の下だけが無重力みたい!」

私は、最新の麻酔の技術にすっかり感心していた。
メスが入り、お腹、子宮が切られているようだが、もちろん痛くない。
そして、瞬く間に、赤ちゃんが取り出される瞬間が近づいてきた。
看護師さん「そろそろ、赤ちゃん出ますよ!ぐーっとひっぱられるような感覚ありますからねー」
”むんずーっ”とお腹の中の大きな塊が下に引き出されるような感じがあり、
そして、”すーっ”と、その大きな塊が体外に出た。

看護師さん「赤ちゃん、生まれましたよ-!宮本さんの頭の上に見せますよー」
そして、上を見上げると、まさにたった今。
私のお腹から出てきた大きな塊、生身の赤ちゃんがそこにいた!!
「うあー。赤ちゃん・・・」
なんとも言えない気持だった。塊は泣かずにじっと有賀医師の手の中にいた。

そして、赤ちゃんは身体をきれいにしてもらい、再び、私の顔の横にやってきた。
目は閉じたまま、初めての外界のまぶしさに戸惑うような顔つきで・・・。
そして、泣き声をあげた。

私「あー赤ちゃん。良かった。おちんちんありますね-。あーありがとうございます。」
看護師さん「良かったですねー。元気ですよー。おめでとうございます」

ああ、生まれきてくれた。
とにかく元気な姿に会えて、ほっとした。
赤ちゃん、さっきまでお腹の中で大きな存在だった塊がなくなって、目の前にいる。
不思議な感覚だった。
下半身痺れたまま、頭はクリアのまま、手術は無事に進行し、お腹をふさぐ処理がなされていた。

その間に、赤ちゃんは助産師さんが外に運んでくれて、夫や両親と初めての対面をしていた。
そして看護師さんが「赤ちゃんは体重3,148g、身長49.5cmでしたよ」と教えてくれた。
お腹の接合後、1時間少しの手術の全行程が終わり、手術室から出た。
赤ちゃんが取り出されたあと、麻酔科の先生と四方山話をしているうちに、思いがけず
同じ高校の同級生であることが判明。お互いにうろ覚えの当時の記憶をたどりつつ、
なんという偶然!と、大いに話が盛り上がった。

麻酔科の神田知枝先生。北大医学部を出て、麻酔科の臨床医に。
確か、成績優秀でいつも学年上位の優等生だった人だったような・・・。
部活一辺倒だった私とは縁がない世界の人だった。
こんなところで再会するとは、本当に奇遇。

おかげで、多少不安だった帝王切開手術が妙に楽しいひとときに変わっていた。
手術室から出ると、夫や両親が出迎えてくれた。
夫の笑顔を見て、嬉しかった。ほっとした。
ああ、赤ちゃんが無事に生まれてくれた・・・。
やっと会えた。元気な赤ちゃん。

妊娠後期。
たまに赤ちゃんが生まれてくる瞬間のことを思い浮かべ、涙が出てくることがあった。
嬉しくて嬉しくて、きっと本当に泣いてしまうのだろう。夫と一緒に・・・と思っていた。
実際に生まれてきてどうだったかというと、
・・・涙は出なかったのだ。
なにか、嬉しくて涙がこぼれるというよりは、とにかくほっとした、という安堵の気持ちだった。
ああよかった、と。何度も何度も、心の中で繰り返した。

帝王切開の手術後、リカバリー室という部屋で一夜を過ごした。
麻酔が切れ、足の感覚が戻り始めたが、まだまだ身体が動かない。
熱が出てきた。身体中が熱く、のどが乾く。
看護師さんが、何度も夜中に来てくれた。
氷枕をして、熱を冷やす。
頭はぼーとしていた。とにかく疲れていたようだ。
その夜は懇々と、ただひたすら眠った。

翌朝、早くから夫が病室に来てくれた。
すぐに赤ちゃんにも会えた。

「かわいいねー赤ちゃん」
夫は顔がくしゃくしゃになっている。
熱もひき、下半身のしびれがなくなり、頭がさえてきた。
赤ちゃんをあらためて見る。
昨日まではお腹にいた赤ちゃん。
不思議だ。本当にこの子がお腹にいたのかな。

赤ちゃんの顔は、想像していたよりも、うんとしっかりしていた。
ついに、赤ちゃんが生まれたんだ。
じわじわと、赤ちゃん誕生の実感を押し寄せてきた。

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